静乃と新治 第二部 ～謎解き
敵の襲撃を振り切って目的地に向かうまでの間、静乃は今まで起こったことをひとつひとつ説明する。
まず私達メイドは特性によって色々なチームに分かれているの。
私たち…私と芽依ちゃんは接近戦を得意とする接近戦部隊のＡチーム。
本当は亜利沙ちゃんを含めて３人だったんだけどね…
静乃は一瞬目を伏せ暗い表情をする。
接近戦部隊は一番人数が多くて、三人から四人編成のチームがＡ、Ｂ、Ｃと３チームあるわ。
その他は狙撃やミサイル攻撃を担当する長距離戦チームが２チーム、情報戦のチームが２チーム。
京香さんの吊られていた綱を切ったのもエレベーターのワイヤーを切ったのも
長刀を持った男を狙撃したのも減速した敵の車両を破壊したのも長距離戦チーム。
さっき敵の車を破壊したのは只の対戦車ロケットランチャーだけど、
綱やワイヤーを切ったのは高エネルギーレーザーよ。
大型の物は一般にも知れ渡っているけど、トレーラーに積める程の小型の物は
アメリカやロシアのような大国でも持っていないわ。
石橋グループの所有している兵器研究所で密かに開発されたの。
その扱いが一番上手なのが麻里さん。
元々優秀なスナイパーで、通常弾でも５００メートルくらいまでなら百発百中なんだけど、
風も重力の影響も受けないレーザー銃なら、５キロくらいまでなら針の穴も通せるんですって。
私はダメね、５０メートルも離れると標的に中々当たらないもの。
それだけ遠距離だと必ず遮蔽物があるから、衛星からの赤外線情報と
標的の周囲に仕掛けられた振動計を使って標的の正確な位置を割り出すの。
只、どうしても人相までは割り出せないから、あなたと私が乗り込んで詳細情報を仕入れたのよ。
京香さんが囚われている部屋の特定と敵の人数。
あなたには「あんあん」言っているようにしか聞こえなかったかもだけど、
喘いでいる振りをして内情を長距離チームに伝えていたの。
そうだったんだ…
じゃあ静乃さんが急に自由に動けたのもレーザーで？
ああ、あれね。
あれは違うわ。
これよ。
そう言って静乃は運転席に乗り出し新治に自分の手首を見せる。
静乃の手首には薄い切り口のような物が出来ていた。
まず私達メイドは特性によって色々なチームに分かれているの。
私たち…私と芽依ちゃんは接近戦を得意とする接近戦部隊のＡチーム。
本当は亜利沙ちゃんを含めて３人だったんだけどね…
静乃は一瞬目を伏せ暗い表情をする。
接近戦部隊は一番人数が多くて、三人から四人編成のチームがＡ、Ｂ、Ｃと３チームあるわ。
その他は狙撃やミサイル攻撃を担当する長距離戦チームが２チーム、情報戦のチームが２チーム。
京香さんの吊られていた綱を切ったのもエレベーターのワイヤーを切ったのも
長刀を持った男を狙撃したのも減速した敵の車両を破壊したのも長距離戦チーム。
さっき敵の車を破壊したのは只の対戦車ロケットランチャーだけど、
綱やワイヤーを切ったのは高エネルギーレーザーよ。
大型の物は一般にも知れ渡っているけど、トレーラーに積める程の小型の物は
アメリカやロシアのような大国でも持っていないわ。
石橋グループの所有している兵器研究所で密かに開発されたの。
その扱いが一番上手なのが麻里さん。
元々優秀なスナイパーで、通常弾でも５００メートルくらいまでなら百発百中なんだけど、
風も重力の影響も受けないレーザー銃なら、５キロくらいまでなら針の穴も通せるんですって。
私はダメね、５０メートルも離れると標的に中々当たらないもの。
それだけ遠距離だと必ず遮蔽物があるから、衛星からの赤外線情報と
標的の周囲に仕掛けられた振動計を使って標的の正確な位置を割り出すの。
只、どうしても人相までは割り出せないから、あなたと私が乗り込んで詳細情報を仕入れたのよ。
京香さんが囚われている部屋の特定と敵の人数。
あなたには「あんあん」言っているようにしか聞こえなかったかもだけど、
喘いでいる振りをして内情を長距離チームに伝えていたの。
そうだったんだ…
じゃあ静乃さんが急に自由に動けたのもレーザーで？
ああ、あれね。
あれは違うわ。
これよ。
そう言って静乃は運転席に乗り出し新治に自分の手首を見せる。
静乃の手首には薄い切り口のような物が出来ていた。
どうしたの？怪我したの？
違うわよ良く見て…と言っても運転を疎かにされると困るからタネ明かしすると、
両手首にリストバンドをしていて、安全装置を解除してから勢い良く振ると瞬間接着剤のようなものが飛び出て、
それが一瞬にして硬化してナイフのようになるの。
これの良いところは振り方によって形が変えられるところね。
そっと振れば手刀のように手の平に沿った形になるし、勢い良く振れば大型ナイフくらいの大きさになるの。
それに勢い良く振ると抹消がギザギザになるから、サバイバルナイフみたいに殺傷力も上がるのよ。
す、すごいね。
じゃあ京香さんの蹴りで敵のお腹が裂けたのも…
そう。
足の甲に巻いたこの特殊ナイフで切ったのよ。
京香さん一人でも周りの見張りを全員倒すことは出来たでしょうけど、
脱出する装備も情報もなかったから耐えていたの。
新治は信号待ちの間にしげしげと静乃の手首を眺める。
タネ明かしされても薄い穴が空いてる以外、リストバンドをしているようには見えない。
本当に００７みたいだ。
うふふ、確かに兵器研究所はＱ博士の研究所みたいね。
でも現実の研究所は色々な分野の最先端技術が結集されているところよ。
この特殊ナイフ一本にしても最先端の化学工場で金にいとめをつけずに開発されたものだし、
リストバンドをしていないように見えるこの特殊メイクも最先端医療からの技術応用よ。
私達メイドは裸でいることが多いから、ご主人様が裸でも戦えるように色々考えて下さっているの。
あの体技はどこで？
ああ、格闘技？
あれは日々訓練しているの。
年中ご主人様とセックスしてあんあんしているだけじゃないのよ。
そう言うと静乃はいつもの屈託の無い笑顔で「うふふ」と笑う。
この笑顔をされると新治はメロメロだ。
で、私の初めての格闘技教官が京香さん。
当時はＡチームのエースだったの。
京香さんには色々教えて貰ったわ。
「ねっ？」という表情で、京香と静乃は首をかしげ合う。
それと脱出する時使った爆弾は普通のプラスチック爆弾だけどセーターは
妨爆と防弾に非常に優れた素材で出来ているのよ。
この服もそうだけど、着心地も重さも殆んど普通の服と変わらないけど、衝撃にものすごく強いの。
なんか色々驚くことばかりで…
みんな普通の…というか可愛いメイドさんなだけかと…
みんな最初から兵士まがいの事をするために集められたの？
ううん、そんなことはないわ。
みんなそれぞれの分野で素質があると見込まれて雇われるのだけど、
素質を伸ばして特技とするかどうかは本人の意思に任せられるわ。
まあ「君には才能がある！」なんて言われて断る人はいないけどね。
色々な事情で戦闘部隊から外れている子は何人かいるわよ。
そうそう！あなたも特殊能力を見込まれて採用されたのよ！
「寝取られマゾ」のかい？
あははは！違うわよ！
それも私から見たらキュートな魅力ではあるけど、そうではなく車の運転。
特に動体視力が尋常じゃないわね。
そうかい？
そうよ！付き合いたての時ドライブしてて、あなた対向車に乗っているグリーンのセーターを
着たおじいさんが鼻をほじっていたって言ったわよね？
ああ、そんなこともあったっけか？
あの道路は高速道路でお互い１００キロ以上のスピードで走っていたから相対スピードは２５０キロ近く。
新幹線に乗って目の端で人の表情と服装を見るようなものよ！
そんなこと普通の人は出来ないわ。
そうなんだ？僕はてっきり当たり前のことかと…
だからワインディングロードで特訓をして貰ったのよ。
えっ？特訓？
そう特訓。
急に現れる障害物を避けたり、怖い人達から逃げたり、レーサーと勝負したり…
あっ！
あれはみんな仕組まれたことだったのか！
…気付かなかったの？
いや、あの山はやけに動物が飛び出して来るなとは思ったし、一番荷重がかかるところで
走行ラインにオイルが撒いてあったり、暴走族に追いかけられたり、やたら速いお兄さんに勝負挑まれたり…
なんか世の中アクシデントって起こるものだなって思ってたけど…
気が付かなかったんだ？
う、うん。
呆れた。
飛び出して来ていた動物たちは、最新のロボテクノロジーで作られた特注品だし、
暴走族のお兄さんも勝負挑んで来たお兄さんも日本でもトップクラスのレーサーで、
素顔だとバレちゃうってことで一生懸命変装してくれていたのに…
あっ！だから何度会ってもサングラス外さなかったのか！
…
いや、あの…
車の運転は好きだけど、レースとかあまり興味がなくて…
なんか新治さんのボケッぷり聞いているとイライラするんですけどぉ。
芽依が相変わらずチューインガムを噛みながら無表情な顔をして言う。
あらそう？私は好きよ。
なんか可愛いじゃない。
二人の会話を聞いていると新婚当時を思い出してきゅんきゅんしちゃうわ。
京香が笑顔でフォローしてくれるが静乃の冷たい目線に、新治は大いに凹んでいた。
違うわよ良く見て…と言っても運転を疎かにされると困るからタネ明かしすると、
両手首にリストバンドをしていて、安全装置を解除してから勢い良く振ると瞬間接着剤のようなものが飛び出て、
それが一瞬にして硬化してナイフのようになるの。
これの良いところは振り方によって形が変えられるところね。
そっと振れば手刀のように手の平に沿った形になるし、勢い良く振れば大型ナイフくらいの大きさになるの。
それに勢い良く振ると抹消がギザギザになるから、サバイバルナイフみたいに殺傷力も上がるのよ。
す、すごいね。
じゃあ京香さんの蹴りで敵のお腹が裂けたのも…
そう。
足の甲に巻いたこの特殊ナイフで切ったのよ。
京香さん一人でも周りの見張りを全員倒すことは出来たでしょうけど、
脱出する装備も情報もなかったから耐えていたの。
新治は信号待ちの間にしげしげと静乃の手首を眺める。
タネ明かしされても薄い穴が空いてる以外、リストバンドをしているようには見えない。
本当に００７みたいだ。
うふふ、確かに兵器研究所はＱ博士の研究所みたいね。
でも現実の研究所は色々な分野の最先端技術が結集されているところよ。
この特殊ナイフ一本にしても最先端の化学工場で金にいとめをつけずに開発されたものだし、
リストバンドをしていないように見えるこの特殊メイクも最先端医療からの技術応用よ。
私達メイドは裸でいることが多いから、ご主人様が裸でも戦えるように色々考えて下さっているの。
あの体技はどこで？
ああ、格闘技？
あれは日々訓練しているの。
年中ご主人様とセックスしてあんあんしているだけじゃないのよ。
そう言うと静乃はいつもの屈託の無い笑顔で「うふふ」と笑う。
この笑顔をされると新治はメロメロだ。
で、私の初めての格闘技教官が京香さん。
当時はＡチームのエースだったの。
京香さんには色々教えて貰ったわ。
「ねっ？」という表情で、京香と静乃は首をかしげ合う。
それと脱出する時使った爆弾は普通のプラスチック爆弾だけどセーターは
妨爆と防弾に非常に優れた素材で出来ているのよ。
この服もそうだけど、着心地も重さも殆んど普通の服と変わらないけど、衝撃にものすごく強いの。
なんか色々驚くことばかりで…
みんな普通の…というか可愛いメイドさんなだけかと…
みんな最初から兵士まがいの事をするために集められたの？
ううん、そんなことはないわ。
みんなそれぞれの分野で素質があると見込まれて雇われるのだけど、
素質を伸ばして特技とするかどうかは本人の意思に任せられるわ。
まあ「君には才能がある！」なんて言われて断る人はいないけどね。
色々な事情で戦闘部隊から外れている子は何人かいるわよ。
そうそう！あなたも特殊能力を見込まれて採用されたのよ！
「寝取られマゾ」のかい？
あははは！違うわよ！
それも私から見たらキュートな魅力ではあるけど、そうではなく車の運転。
特に動体視力が尋常じゃないわね。
そうかい？
そうよ！付き合いたての時ドライブしてて、あなた対向車に乗っているグリーンのセーターを
着たおじいさんが鼻をほじっていたって言ったわよね？
ああ、そんなこともあったっけか？
あの道路は高速道路でお互い１００キロ以上のスピードで走っていたから相対スピードは２５０キロ近く。
新幹線に乗って目の端で人の表情と服装を見るようなものよ！
そんなこと普通の人は出来ないわ。
そうなんだ？僕はてっきり当たり前のことかと…
だからワインディングロードで特訓をして貰ったのよ。
えっ？特訓？
そう特訓。
急に現れる障害物を避けたり、怖い人達から逃げたり、レーサーと勝負したり…
あっ！
あれはみんな仕組まれたことだったのか！
…気付かなかったの？
いや、あの山はやけに動物が飛び出して来るなとは思ったし、一番荷重がかかるところで
走行ラインにオイルが撒いてあったり、暴走族に追いかけられたり、やたら速いお兄さんに勝負挑まれたり…
なんか世の中アクシデントって起こるものだなって思ってたけど…
気が付かなかったんだ？
う、うん。
呆れた。
飛び出して来ていた動物たちは、最新のロボテクノロジーで作られた特注品だし、
暴走族のお兄さんも勝負挑んで来たお兄さんも日本でもトップクラスのレーサーで、
素顔だとバレちゃうってことで一生懸命変装してくれていたのに…
あっ！だから何度会ってもサングラス外さなかったのか！
…
いや、あの…
車の運転は好きだけど、レースとかあまり興味がなくて…
なんか新治さんのボケッぷり聞いているとイライラするんですけどぉ。
芽依が相変わらずチューインガムを噛みながら無表情な顔をして言う。
あらそう？私は好きよ。
なんか可愛いじゃない。
二人の会話を聞いていると新婚当時を思い出してきゅんきゅんしちゃうわ。
京香が笑顔でフォローしてくれるが静乃の冷たい目線に、新治は大いに凹んでいた。
