静乃と新治 第三部 ~脱出
会場から離れるのはそれほど苦労はなかった。
爆発の騒ぎで逃げ惑う人達で大混乱していたからだ。
外国人も沢山いたし、爆心地に近いところにいた人は皆、土埃まみれになっていた。
法衣を脱いだ純はシャツとパンツ姿だったが、服に火が燃え移ったと言ったら全く疑われなかった。
救急車を手配されそうになったが、迎えの車が来ているからと断った。
信治が待つ車のところまで来ると、先に到着してた静乃が駈けより純を抱き締める。
良かった…本当に良かった…
静乃は涙を流して純の無事を喜んだ。
だが純は始終浮かない顔だ。
皆車に乗り込み純の父母が待つ家へと移動する間も純は無言で重苦しい空気が流れる。
あんた助かったんだからもう少し嬉しそうな顔しなさいよ。
堪らず芽衣が声をかける。
助かったって、結局この国はなにも変わらない…
純は芽衣とは目線を合わせず窓の方を向いてつぶやく。
何を言っているの!
例えあなたがあそこでステイ大統領を道連れに死んだとしても国の行方なんてどの程度変わるって言うの!
純のその言葉に芽衣は激高する。
爆発の騒ぎで逃げ惑う人達で大混乱していたからだ。
外国人も沢山いたし、爆心地に近いところにいた人は皆、土埃まみれになっていた。
法衣を脱いだ純はシャツとパンツ姿だったが、服に火が燃え移ったと言ったら全く疑われなかった。
救急車を手配されそうになったが、迎えの車が来ているからと断った。
信治が待つ車のところまで来ると、先に到着してた静乃が駈けより純を抱き締める。
良かった…本当に良かった…
静乃は涙を流して純の無事を喜んだ。
だが純は始終浮かない顔だ。
皆車に乗り込み純の父母が待つ家へと移動する間も純は無言で重苦しい空気が流れる。
あんた助かったんだからもう少し嬉しそうな顔しなさいよ。
堪らず芽衣が声をかける。
助かったって、結局この国はなにも変わらない…
純は芽衣とは目線を合わせず窓の方を向いてつぶやく。
何を言っているの!
例えあなたがあそこでステイ大統領を道連れに死んだとしても国の行方なんてどの程度変わるって言うの!
純のその言葉に芽衣は激高する。
まあまあ。
でも純君のその決意が自爆テロ以上の効果を生むかも知れないわね。
後はお姉さんに任せて、純君はご両親と再会出来ること、生きている事の大切さを素直に喜んでね。
後、芽衣ちゃんに責められる悦びもね。
「ふふふ」と静乃はいつもの屈託のない笑顔でそう言った。
純の両親の元に到着すると二人は純を抱き抱え、涙を流して再会を喜んだ。
芽衣も両親と一緒になってまた涙する。
そうそう!純!こんな可愛らしい娘さんとお付き合いしているなんて、一言も言わなかったじゃない!
純の母親が問い詰める。
あっ!芽衣様とはお付き合いと言うより飼われて…
やだっ!純君たら!
何わけのわからない事を言っているの!
私達ラブラブの恋人同士よね?
純の背中を思いきり引っぱたいて満面の笑みを浮かべて純の言葉を遮る芽衣。
だがその瞳は笑っていなかった。
ああ、うん、そう!
母さんごめんね。
芽衣ちゃんの事黙ってて。
芽衣の無言の威圧で事情を察し、取り繕う純。
良いのよ。
リーダーには申し訳ないけど、これで良かったのよ。
若い身空で、しかもこんな可愛い娘さんを残して死ぬことはないわ。
純の母は、幸い全く気づくことはなく言葉を続けた。
しかしそれでは目的が達成出来ないよ…
それに追っ手も心配だな。
純の言葉に父親が言葉を被せる。
そのことについてはどちらも私達にお任せ下さい。
静乃が答える。
まず純君は私たちが責任を持って日本に連れて帰ります。
ここは危険なので着替えて荷物をまとめたらすぐ私たちが泊まっているホテルに移動します。
この国の情勢についても、きっと純君が自爆テロを成功させたより良い方向にしますわ。
静乃はそう言い切った。
純が身支度を整えるまで芽衣だけを残し、静乃たち4人は車に戻る。
静乃さん、あんなこと言ってたけど大丈夫なのかい?
新治は心配そうに静乃に尋ねる。
大丈夫よ、根拠はあるわ。
ご主人様と連絡を取ったの。
今までの経緯を話したら、純君の決意を知って、明日セイン大統領との会談の席をセッティングして頂いたわ。
それと伝言も…
またご主人様に助けて貰う格好になっちゃうけどね。
ほどなくして純と芽衣が揃って純の両親の家から出て来る。
お父さんもお母さんも良い人で良かったわ。
お母さんがちょっと涙もろいのが面倒だったけど。
車に乗り込んだ芽衣はサラリと言ってのける。
あら?芽衣ちゃん。
あんなに緊張している芽衣ちゃん、私初めて見たわよ?
芽衣の態度を静乃がちゃかす。
そ、それは!
初対面だったから…
うふふ、そうね。
未来のお義父さんとお義母さんだもんね。
静乃は更にちゃかす。
もう!静乃さんったら!
その掛け合いを見ていた純も自然と笑みがこぼれる。
夕闇迫る街を車は宿泊先のホテルに向けてひた走った。
でも純君のその決意が自爆テロ以上の効果を生むかも知れないわね。
後はお姉さんに任せて、純君はご両親と再会出来ること、生きている事の大切さを素直に喜んでね。
後、芽衣ちゃんに責められる悦びもね。
「ふふふ」と静乃はいつもの屈託のない笑顔でそう言った。
純の両親の元に到着すると二人は純を抱き抱え、涙を流して再会を喜んだ。
芽衣も両親と一緒になってまた涙する。
そうそう!純!こんな可愛らしい娘さんとお付き合いしているなんて、一言も言わなかったじゃない!
純の母親が問い詰める。
あっ!芽衣様とはお付き合いと言うより飼われて…
やだっ!純君たら!
何わけのわからない事を言っているの!
私達ラブラブの恋人同士よね?
純の背中を思いきり引っぱたいて満面の笑みを浮かべて純の言葉を遮る芽衣。
だがその瞳は笑っていなかった。
ああ、うん、そう!
母さんごめんね。
芽衣ちゃんの事黙ってて。
芽衣の無言の威圧で事情を察し、取り繕う純。
良いのよ。
リーダーには申し訳ないけど、これで良かったのよ。
若い身空で、しかもこんな可愛い娘さんを残して死ぬことはないわ。
純の母は、幸い全く気づくことはなく言葉を続けた。
しかしそれでは目的が達成出来ないよ…
それに追っ手も心配だな。
純の言葉に父親が言葉を被せる。
そのことについてはどちらも私達にお任せ下さい。
静乃が答える。
まず純君は私たちが責任を持って日本に連れて帰ります。
ここは危険なので着替えて荷物をまとめたらすぐ私たちが泊まっているホテルに移動します。
この国の情勢についても、きっと純君が自爆テロを成功させたより良い方向にしますわ。
静乃はそう言い切った。
純が身支度を整えるまで芽衣だけを残し、静乃たち4人は車に戻る。
静乃さん、あんなこと言ってたけど大丈夫なのかい?
新治は心配そうに静乃に尋ねる。
大丈夫よ、根拠はあるわ。
ご主人様と連絡を取ったの。
今までの経緯を話したら、純君の決意を知って、明日セイン大統領との会談の席をセッティングして頂いたわ。
それと伝言も…
またご主人様に助けて貰う格好になっちゃうけどね。
ほどなくして純と芽衣が揃って純の両親の家から出て来る。
お父さんもお母さんも良い人で良かったわ。
お母さんがちょっと涙もろいのが面倒だったけど。
車に乗り込んだ芽衣はサラリと言ってのける。
あら?芽衣ちゃん。
あんなに緊張している芽衣ちゃん、私初めて見たわよ?
芽衣の態度を静乃がちゃかす。
そ、それは!
初対面だったから…
うふふ、そうね。
未来のお義父さんとお義母さんだもんね。
静乃は更にちゃかす。
もう!静乃さんったら!
その掛け合いを見ていた純も自然と笑みがこぼれる。
夕闇迫る街を車は宿泊先のホテルに向けてひた走った。