不破雷四郎第一部 ～罠にかかった夫達
一週間後の週末。
雷四郎の応接室。
ソファーに男が三人、並んで座っている。
それぞれ由美の夫の貴史、梨香の夫の成明、初音の夫の忠夫である。
妻たちは夫を横に見る位置、雷四郎と夫たちに挟まれた格好でコの字に置かれたソファーに座っている。
夫たちは自ら進んでこの場に来たわけではない。
妻から頼まれて贖罪の意識で、もしくは妻がのめり込んでいる宗教を
冷やかしで覗いてやろうとこの施設にやって来た。
さて今日お呼びだてをしたのは他でもありません。
皆さんの奥方様は皆さんのことで大層お悩みだとのこと。
そこで不祥私めが助け船を出そうと思いましてね。
夫婦円満カルキュラムに参加して頂こうと思っています。
それは具体的には何をするのですか？
由美の夫、貴史が即座に質問する。
具体的に何と言われてもご夫婦によって違うのですが…
言えることは我が会では女性を尊重してこその夫婦円満との教えです。
「かかあ天下は出世する」との昔からのことわざがあるように、女性が尻に敷くくらいが
夫婦としての理想の姿だと私は信じていますし、信者の皆さんに教えを説いてます。
実際私の教えを信じて頂けたご夫婦は、皆さん幸せになっておいでですよ。
微笑みを絶やさず穏やかな口調でそう男たちを諭す雷四郎。
何言ってるんだ！
今までだって俺は金に困ったことはない！
大体ここに通うようになって、ウチのヤツはおかしくなっちまった。
今まで俺に歯向かったことなんてなかったのに、
この前イッパツやろうとしたら「いやです」なんてほざきやがって！
貴史は吐き捨てるようにそう言うと、由美を睨む。
それで由美さんに手をあげたのですか？
雷四郎は静かに尋ねる。
雷四郎の応接室。
ソファーに男が三人、並んで座っている。
それぞれ由美の夫の貴史、梨香の夫の成明、初音の夫の忠夫である。
妻たちは夫を横に見る位置、雷四郎と夫たちに挟まれた格好でコの字に置かれたソファーに座っている。
夫たちは自ら進んでこの場に来たわけではない。
妻から頼まれて贖罪の意識で、もしくは妻がのめり込んでいる宗教を
冷やかしで覗いてやろうとこの施設にやって来た。
さて今日お呼びだてをしたのは他でもありません。
皆さんの奥方様は皆さんのことで大層お悩みだとのこと。
そこで不祥私めが助け船を出そうと思いましてね。
夫婦円満カルキュラムに参加して頂こうと思っています。
それは具体的には何をするのですか？
由美の夫、貴史が即座に質問する。
具体的に何と言われてもご夫婦によって違うのですが…
言えることは我が会では女性を尊重してこその夫婦円満との教えです。
「かかあ天下は出世する」との昔からのことわざがあるように、女性が尻に敷くくらいが
夫婦としての理想の姿だと私は信じていますし、信者の皆さんに教えを説いてます。
実際私の教えを信じて頂けたご夫婦は、皆さん幸せになっておいでですよ。
微笑みを絶やさず穏やかな口調でそう男たちを諭す雷四郎。
何言ってるんだ！
今までだって俺は金に困ったことはない！
大体ここに通うようになって、ウチのヤツはおかしくなっちまった。
今まで俺に歯向かったことなんてなかったのに、
この前イッパツやろうとしたら「いやです」なんてほざきやがって！
貴史は吐き捨てるようにそう言うと、由美を睨む。
それで由美さんに手をあげたのですか？
雷四郎は静かに尋ねる。
うつ向いた由美の頬は腫れていた。
ウチもそうだ！あんたがウチの女房に何か入れ知恵したんだろう？
ウチの女房もズケズケ言いたい放題だ！
貴史の剣幕に便乗して成明もまくし立てる。
あなたの奥様は特に変わったところは？
貴史と成明に構わず雷四郎は忠夫に尋ねる。
い、いえウチはなにも…
元々あまり夫婦の会話がないもので…
忠夫はモジモジしながら、そう言うのが精一杯だった。
おいっ！お前！聞いているのか？
太陽の会だかなんだか知らねぇが、怪しげな宗教女房に吹き込みやがって！
パチンコ屋は優男じゃ仕切れねぇんだぞ！
そう言いながら貴史は席を立ち雷四郎の襟首を掴む。
次の瞬間、雷四郎が人差し指で貴史の額を軽く突くと、貴史は崩れ落ちるようにその場に倒れた。
床に倒れ込んだ貴史の顔を、成明が覗き込むと、貴史は泡を吹いて気絶していた。
それと同時に失禁もしている。
ひぃ～！
それを目の当たりにした成明は、腰を抜かし、床に尻をつきながら後ずさりする。
その様子があまりにも滑稽で、女たちの失笑を買う。
夫が倒れていると言うのに由美まで吹き出していた。
由美の旦那は骨が折れそうだな。
雷四郎はそうつぶやくと成明に近づく。
ひぃ～！来るな！
成明は必死に後ずさりしようとするが、腰が抜けていて立てない。
更に貴史と同じように失禁してしまっていた。
梨香の旦那もしまりが悪いな。
だからいつまで経っても女房より出世しないんだ。
そう言いながら雷四郎は貴史と同じように成明の額を軽くつつく。
次の瞬間、成明も気絶する。
忠夫は観念したのか、雷四郎と目が合うと目をつむり、手を合わせ拝むそぶりを見せる。
貴史、成明と同じように額を軽くつつかれると忠夫もその場に倒れ込んだ。
ウチもそうだ！あんたがウチの女房に何か入れ知恵したんだろう？
ウチの女房もズケズケ言いたい放題だ！
貴史の剣幕に便乗して成明もまくし立てる。
あなたの奥様は特に変わったところは？
貴史と成明に構わず雷四郎は忠夫に尋ねる。
い、いえウチはなにも…
元々あまり夫婦の会話がないもので…
忠夫はモジモジしながら、そう言うのが精一杯だった。
おいっ！お前！聞いているのか？
太陽の会だかなんだか知らねぇが、怪しげな宗教女房に吹き込みやがって！
パチンコ屋は優男じゃ仕切れねぇんだぞ！
そう言いながら貴史は席を立ち雷四郎の襟首を掴む。
次の瞬間、雷四郎が人差し指で貴史の額を軽く突くと、貴史は崩れ落ちるようにその場に倒れた。
床に倒れ込んだ貴史の顔を、成明が覗き込むと、貴史は泡を吹いて気絶していた。
それと同時に失禁もしている。
ひぃ～！
それを目の当たりにした成明は、腰を抜かし、床に尻をつきながら後ずさりする。
その様子があまりにも滑稽で、女たちの失笑を買う。
夫が倒れていると言うのに由美まで吹き出していた。
由美の旦那は骨が折れそうだな。
雷四郎はそうつぶやくと成明に近づく。
ひぃ～！来るな！
成明は必死に後ずさりしようとするが、腰が抜けていて立てない。
更に貴史と同じように失禁してしまっていた。
梨香の旦那もしまりが悪いな。
だからいつまで経っても女房より出世しないんだ。
そう言いながら雷四郎は貴史と同じように成明の額を軽くつつく。
次の瞬間、成明も気絶する。
忠夫は観念したのか、雷四郎と目が合うと目をつむり、手を合わせ拝むそぶりを見せる。
貴史、成明と同じように額を軽くつつかれると忠夫もその場に倒れ込んだ。
