静乃と新治第五部 ～罠の正体
…去ったわね。
…去ったようだね。
静乃と新治はお互いそう言い合う。
さっぱりわからん、何があったんだ？
砂原はイライラしながら静乃に説明を求める。
咲ちゃん、桃花ちゃんは生きているかしら？
砂原の質問には答えずインカムで咲に桃花の安否を尋ねる静乃。
応答はありませんが生体反応はあります。
…わかったわ、回収に向かいます。
そう言うと静乃はバキーを降りる。
芽依も続いて降りようとするが静乃が静止する。
芽依ちゃんはバギーに乗ったままでいて。
新治さん、私の後をついて来て、合図したら私を置いて三人で逃げてね。
静乃はそう言うとロケットブーツでダッシュして、今来た道を戻る。
カーブしているところは森に入りショートカットして山を下る。
新治は無理について行くことはせず、高いギアでなるべく音を立てないように定速で山道を降りて行く。
新治！何があった？
静乃が質問に答えないので余計にイライラした砂原は、新治に矛先を向ける。
砂原さんは見えなかったんですか？
すごい勢いで僕たちを追って来ていた黒づくめのジャンプスーツを来た女性がいたんですよ。
あっ！見えなかったから明後日の方向を撃っていたのか…
まあその女性は３キロほど走ったところでいなくなりましたけどね。
新治はここぞとばかりに砂原を責め立てる。
くっ！
俺がめくらだとでも言いたいのか？
そんなことないわよ。
いくらロケットブーツを履いているからってガトリング砲は脅威だわ。
私の爆弾とあなたがむちゃくちゃにぶっ放していたガトリング砲で相手は追うのを諦めたのは事実よ。
クッ！
芽依の追い討ちで部が悪いと悟った砂原は黙りこくる。
そうこうしているうちに桃花を降ろした場所に到着する。
新治は路肩に停車して待機した。
…去ったようだね。
静乃と新治はお互いそう言い合う。
さっぱりわからん、何があったんだ？
砂原はイライラしながら静乃に説明を求める。
咲ちゃん、桃花ちゃんは生きているかしら？
砂原の質問には答えずインカムで咲に桃花の安否を尋ねる静乃。
応答はありませんが生体反応はあります。
…わかったわ、回収に向かいます。
そう言うと静乃はバキーを降りる。
芽依も続いて降りようとするが静乃が静止する。
芽依ちゃんはバギーに乗ったままでいて。
新治さん、私の後をついて来て、合図したら私を置いて三人で逃げてね。
静乃はそう言うとロケットブーツでダッシュして、今来た道を戻る。
カーブしているところは森に入りショートカットして山を下る。
新治は無理について行くことはせず、高いギアでなるべく音を立てないように定速で山道を降りて行く。
新治！何があった？
静乃が質問に答えないので余計にイライラした砂原は、新治に矛先を向ける。
砂原さんは見えなかったんですか？
すごい勢いで僕たちを追って来ていた黒づくめのジャンプスーツを来た女性がいたんですよ。
あっ！見えなかったから明後日の方向を撃っていたのか…
まあその女性は３キロほど走ったところでいなくなりましたけどね。
新治はここぞとばかりに砂原を責め立てる。
くっ！
俺がめくらだとでも言いたいのか？
そんなことないわよ。
いくらロケットブーツを履いているからってガトリング砲は脅威だわ。
私の爆弾とあなたがむちゃくちゃにぶっ放していたガトリング砲で相手は追うのを諦めたのは事実よ。
クッ！
芽依の追い討ちで部が悪いと悟った砂原は黙りこくる。
そうこうしているうちに桃花を降ろした場所に到着する。
新治は路肩に停車して待機した。
砂原さん、ちょっと来てくれるかしら？
数分経ったところでインカムから静乃の声が聞こえる。
探知機ではバギーを停車しているところから２００メートルほど森の中に入ったところに静乃はいるようだ。
咲ちゃん、今から伝えることをご主人様と、展開している皆に伝えて。
隼人さんのクローンについていた３人のメイドは、おそらく京香さんと真菜さんと綾音さんのクローン…
それって！
新治も芽依も同時に驚嘆の声をあげる。
…やはりそうでしたか。
インカム越しに咲だけが予想していたように落ち着き払った口調で返事をする。
何かあったの？
ええまあ…報告は合流してから。
咲はそう言うと通信を切った。
ほどなくして静乃に先導され、ぐったりした桃花を抱えた砂原が森から出て来る。
駆け寄る新治と芽依。
大丈夫、とりあえず息はあるわ。
念のためにヘルメットを被るように言っておいて本当に良かった。
通常スナイパーは狙いをつけやすいように出来るだけ身軽な装備をする。
桃花は右肩と額を撃ち抜かれていた。
鉄鋼のライフル弾なので防弾セーターでも肩は防ぎ切れなかったが、
額の方は防弾ヘルメットを被っていたので脳震盪を起こしただけで済んでいた。
気絶している桃花をバキーに乗せ、なるべく振動させないよう
ソロソロと迷彩トレーラーとの合流地点に向かう新治。
桃花ちゃんが着ていた迷彩マントは光学的に見えなくするのももちろんだけど、熱も遮断するの。
咲ちゃんは半径５００メートル以内の動くものは全て監視していたけど不審な動きをする物の報告はなかった。
５００メートル以上離れた場所から森の中に隠れている見えない標的の
右肩と額を正確に撃ち抜ける人なんて私は一人しか知らないわ。
真菜さん！
そう、それで思い出したの。
追って来た女の動きや身体つき、それに輪郭が誰に似ているか。
若い頃の京香さんそっくりだわ。
何よりあの殺気は京香さんそのものだもの。
となると３人いたメイドのうち、もう一人が誰か想像がつくでしょう？
道すがら何故京香と真菜と綾音のクローンと断定したかを皆に説明する静乃。
迷彩トレーラーとの合流地点に到着するとその風景に皆仰天する。
迷彩トレーラー自体は無傷だったが、あたり一面焼け野原になっていた。
迷彩トレーラーの格納庫にバキーを固定し、首藤が桃花の応急処置をしている間、咲が皆に事情を説明する。
胸騒ぎがしたから作戦開始直前に車を移動したの。
教習で習った一番いちゃいけない場所にね。
１０箇所中継デコイをばら蒔いていたけどその内８個はやられてしまったわ。
教習で習った通りの優先潜伏順序でね。
相手がプロなら当然かも知れないけどあまりにも綾音さんの作った教本通りだから、
ちょっと気になっていたところへ静乃さんの話を聞いたから合点が入ったわ。
話を戻すけど、こちらもやられてばかりじゃなく、
石橋の衛星レーザーを使って潜伏予想地点６箇所全て叩いたの。
相手はもの凄い早さで次々とデコイに砲弾を撃ち込んで来たから、勝てたのは装備のお陰ね。
ああ、だから京香さんのクローンが途中で引き上げたのか。
諜報班がやられては目と耳を潰されたのと一緒だからね。
個々の話がつながる。
静乃！無事だったか？
その時龍之介からホットラインの通信が入り、トレーラーに備え付けられた
大型モニタに龍之介の姿が映し出された。
はい…私はなんとか…
でも桃花ちゃんに大怪我をさせてしまいました。
沈痛な面持ちで龍之介に報告する静乃。
致し方ない、まさか京香と真菜と綾音のクローンを用意しているとはな。
お前の報告を受けて全班接触中止命令を出したが時を同じくして
動いてしまった班もあって、やはり負傷者が出ている。
まあお前のところと同じでリーダーが機転を利かせて死には至っていないがな。
ナターシャも仲間を庇って負傷してしまったよ。
ナターシャが？
静乃を始め皆に動揺が走る。
まずは桃花の治療が先だ。
トロント空港まで戻って桃花を迎えの飛行機に乗せたら他のメンバーは補充員が来るまで待機だ。
了解しました。
龍之介はそう言うと通信を切った。
数分経ったところでインカムから静乃の声が聞こえる。
探知機ではバギーを停車しているところから２００メートルほど森の中に入ったところに静乃はいるようだ。
咲ちゃん、今から伝えることをご主人様と、展開している皆に伝えて。
隼人さんのクローンについていた３人のメイドは、おそらく京香さんと真菜さんと綾音さんのクローン…
それって！
新治も芽依も同時に驚嘆の声をあげる。
…やはりそうでしたか。
インカム越しに咲だけが予想していたように落ち着き払った口調で返事をする。
何かあったの？
ええまあ…報告は合流してから。
咲はそう言うと通信を切った。
ほどなくして静乃に先導され、ぐったりした桃花を抱えた砂原が森から出て来る。
駆け寄る新治と芽依。
大丈夫、とりあえず息はあるわ。
念のためにヘルメットを被るように言っておいて本当に良かった。
通常スナイパーは狙いをつけやすいように出来るだけ身軽な装備をする。
桃花は右肩と額を撃ち抜かれていた。
鉄鋼のライフル弾なので防弾セーターでも肩は防ぎ切れなかったが、
額の方は防弾ヘルメットを被っていたので脳震盪を起こしただけで済んでいた。
気絶している桃花をバキーに乗せ、なるべく振動させないよう
ソロソロと迷彩トレーラーとの合流地点に向かう新治。
桃花ちゃんが着ていた迷彩マントは光学的に見えなくするのももちろんだけど、熱も遮断するの。
咲ちゃんは半径５００メートル以内の動くものは全て監視していたけど不審な動きをする物の報告はなかった。
５００メートル以上離れた場所から森の中に隠れている見えない標的の
右肩と額を正確に撃ち抜ける人なんて私は一人しか知らないわ。
真菜さん！
そう、それで思い出したの。
追って来た女の動きや身体つき、それに輪郭が誰に似ているか。
若い頃の京香さんそっくりだわ。
何よりあの殺気は京香さんそのものだもの。
となると３人いたメイドのうち、もう一人が誰か想像がつくでしょう？
道すがら何故京香と真菜と綾音のクローンと断定したかを皆に説明する静乃。
迷彩トレーラーとの合流地点に到着するとその風景に皆仰天する。
迷彩トレーラー自体は無傷だったが、あたり一面焼け野原になっていた。
迷彩トレーラーの格納庫にバキーを固定し、首藤が桃花の応急処置をしている間、咲が皆に事情を説明する。
胸騒ぎがしたから作戦開始直前に車を移動したの。
教習で習った一番いちゃいけない場所にね。
１０箇所中継デコイをばら蒔いていたけどその内８個はやられてしまったわ。
教習で習った通りの優先潜伏順序でね。
相手がプロなら当然かも知れないけどあまりにも綾音さんの作った教本通りだから、
ちょっと気になっていたところへ静乃さんの話を聞いたから合点が入ったわ。
話を戻すけど、こちらもやられてばかりじゃなく、
石橋の衛星レーザーを使って潜伏予想地点６箇所全て叩いたの。
相手はもの凄い早さで次々とデコイに砲弾を撃ち込んで来たから、勝てたのは装備のお陰ね。
ああ、だから京香さんのクローンが途中で引き上げたのか。
諜報班がやられては目と耳を潰されたのと一緒だからね。
個々の話がつながる。
静乃！無事だったか？
その時龍之介からホットラインの通信が入り、トレーラーに備え付けられた
大型モニタに龍之介の姿が映し出された。
はい…私はなんとか…
でも桃花ちゃんに大怪我をさせてしまいました。
沈痛な面持ちで龍之介に報告する静乃。
致し方ない、まさか京香と真菜と綾音のクローンを用意しているとはな。
お前の報告を受けて全班接触中止命令を出したが時を同じくして
動いてしまった班もあって、やはり負傷者が出ている。
まあお前のところと同じでリーダーが機転を利かせて死には至っていないがな。
ナターシャも仲間を庇って負傷してしまったよ。
ナターシャが？
静乃を始め皆に動揺が走る。
まずは桃花の治療が先だ。
トロント空港まで戻って桃花を迎えの飛行機に乗せたら他のメンバーは補充員が来るまで待機だ。
了解しました。
龍之介はそう言うと通信を切った。
