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雷四郎第二部 ~逆襲

着いた先は工藤が所属する指定暴力団三和会が所有するビル。

観堂を率いて事務所のドアを蹴破ると紫煙に包まれた部屋の中に数名、
いかにもそれとわかる風体の男たちがたむろっている。

あっ!お前は!

雷四郎の姿を見るなりにわかに殺気立つ男たち。

昨日雷四郎にのされた男たちのようだった。

ほう、俺の顔を覚えていたか。

それなら話は早い。

工藤はどこにいる?


雷四郎は凄みを効かせて男たちに問いただす。

そんなこと言う分けないだろう!

男たちはそう叫ぶと一斉に銃を取り出す。


バスバスバス!

事務所に小さな銃声が響く。

倒れたのは…



工藤の手下たちであった。

観堂の両手にはサイレンサー付の拳銃が握られており、銃口から硝煙をあげていた。

男たちは一人を除いて全員が額を撃ち抜かれていた。

残る一人も銃を持っていた手を撃ち抜かれている。

ひ、ひぃ~!助けてくれ!

腰が抜け、尻餅をついたまま後ずさる男。

ではもう一度聞く。

工藤はどこだ?


く、工藤の親分なら地下だ!地下室にいる!

そう言うと男は頭を抱え、ガタガタと身を震わせる。

そうか、ありがとう。

雷四郎はそう言うと男の後頭部を手刀で一閃する。

男はいとも簡単に気絶した。

んはぁ!もうやめてぇ~!

これしきで終わると思うな!

地下への階段をそっと降りて行くと鉄の扉の向こうから男の怒号と女の呻き声がする。

ドアノブをそっと回し鉄の扉を押すと少し開く。

鍵はかかっていないようだ。

雷四郎がドアを開けると中では一人の女を複数の男たちが組み敷いていた。

全員裸である。

もちろん女は亜矢芽。

激しく殴られ顔は腫れ上がり、身体にも無数のアザが出来ていた。

もう何度も蹂躙されたのであろう。

汗と男たちの体液で髪は乱れ、身体が光っている。

亜矢芽を取り囲む男の中に工藤の姿も見えた。

工藤は巨大な張り型を持ち、ニヤニヤしながら執拗に亜矢芽の陰部を責め立てていた。

それを見た雷四郎の髪がざわつく。

あっ!てめえは!

男たちは雷四郎の姿を見とめると一斉に立ち上がり襲おうとするが、雷四郎の動きの方が遥かに早かった。

無駄のない動きで男たちの陰茎を手に持ったサバイバルナイフで次々と切り落として行く。

ぐおおっ!

数秒後、地下室は男たちの断末魔の叫びと血の臭いで充満した。

雷四郎様ぁ!

亜矢芽は雷四郎に駆け寄り抱きつく。

亜矢芽…遅くなってすまん。

雷四郎も亜矢芽を抱き締め、顔を優しく撫でた。

ああ、雷四郎様、あまり見ないで下さい。

亜矢芽はそう言うとうつ向いて顔を隠す。

私が雷四郎様の元を離れたのがいけなかったのです。

亜矢芽はそう言うと事の真実を語り始めた。

雷四郎様のところに伺ったのはご察しの通り雷四郎様を骨抜きにしろとのお父様からの指示でした。

ところが…私の方がすっかり夢中になってしまって…

昨日まで工藤が来るとは知らなかったのは本当です。

工藤が嫌でお父様のところに身を寄せたのに、その工藤を差し向けて来るなんて信じたくなかった…

でも明け方お父様から連絡が入り、工藤のところへ行けという指示があって…

悪いようにはしないからと…

仕方なく教団の施設を出たところへ工藤が待ち構えていて、
そのまま警察に行ったところまでは別人のように優しかったのですが、
警察から出るなりここに連れ込まれて…


嗚咽混じりに説明する亜矢芽。

あっ!それと私が来る何日か前に雷四郎様を信者が襲ったと思いますが、あれもお父様の仕業です。

雷四郎様とお会いする以前から私を雷四郎様の元に送り込む事は決定していたそうで、
雷四郎様を私に夢中にさせるために他の信者との接触を絶たせる目的から仕込んだそうです。

本当なら私も密かに他の信者に暗示をかける計画でしたが、私が全く行動に移さなかったので、
業を煮やして工藤を送り込んで来たのだと思います。


そうか、これで全て繋がったな。

くそっ!この野郎!

その時陰茎を切り落とされもんどり打っていた男の内一人が、
拘束用に部屋の隅にかけられていた鎖を振り回し雷四郎に襲い掛かる。

バス!

またしてもサイレンサー付き銃の発射音が響き、その男は額を撃ち抜かれ絶命する。

雷四郎がドアの方を向くとそこに立っていたのは長身でロングヘアの男だった。

よう!風間!久しぶりだな!

ああ、会うのは5年ぶりか?

階段のところで観堂に会ったから銃を拝借して来たよ。

観堂も元気そうで何よりだ。

今回はウチの末端組織が迷惑をかけたな。


風間と呼ばれた男はそう言って雷四郎に頭を下げた。

何大したことはない。

これ以上事が大きくならないように手配してくれれば良かったのだが、わざわざ来てくれたのか?


当たり前だ。

親友に身内が粉をかけたのを電話一本で全て始末するなど
俺の性に合わんことはお前が一番良く知っているだろう?


風間はそう言うと今度は床で呻いている工藤に向き直る。

良いか?

今日あったことは全てお前たちの内輪揉めだ。

亜矢芽を取り合って組員同士で銃撃戦になった。

警察にはそう話すんだぞ。


そう言って氷のように冷たい表情で工藤を見下す風間。

えっ?

は、はい…

風間の親分…


今までの雷四郎と風間の会話から全てを悟った工藤は、そう返事すると気を失った。



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