静乃と新治第六部 ~シチリア島の激闘 後篇
ボルドールに指示されて向かったシチリアの街で罠にはまった静乃たち。
遅い来る強化人間たちの襲撃からはかろうじて逃れたが、
街のあちこちから車に向かって雨のように弾丸が降り注ぐ。
ライフルで歯が立たないとわかったのかロケットランチャーらしき物を構えるヤツもいる。
新治さん!そこの広場で360度回転して!
静乃は助手席で何やら操作しながら新治に言う。
わかった!
車が広場に差し掛かると新治は車をスピンさせる。
バララララ!
荷台から連続発射音が響く。
新治がサイドミラーで確認すると荷台に設置された半球状の台座から、重機関銃が二基突き出ていた。
その重機関銃から発射された弾は正確に狙撃手や男たちにヒットし、肉塊へ変える。
ものの数秒で車の周りで動く者はいなくなった。
すご~い!
これは長距離部隊がやっかむわ!
静乃は感嘆の声をあげる。
その時であった。
静乃の衛星電話の着信音が鳴る。
ええ、ええ、そう。
こちらも片付いたわ。
ご苦労様。
引き続き捜索よろしくね。
静乃はそう言うと電話を切る。
事情がわからない新治たちは静乃を見つめ説明を待つ。
あ~!ごめんごめん!
皆の視線に気づいた静乃が説明を始める。
この機関銃は石橋研究所が発明した新兵器で一基で一秒間に38箇所の個別標的を狙撃することが出来るの。
それは良いけど…街がゴーストタウンになっちゃったよ。
遅い来る強化人間たちの襲撃からはかろうじて逃れたが、
街のあちこちから車に向かって雨のように弾丸が降り注ぐ。
ライフルで歯が立たないとわかったのかロケットランチャーらしき物を構えるヤツもいる。
新治さん!そこの広場で360度回転して!
静乃は助手席で何やら操作しながら新治に言う。
わかった!
車が広場に差し掛かると新治は車をスピンさせる。
バララララ!
荷台から連続発射音が響く。
新治がサイドミラーで確認すると荷台に設置された半球状の台座から、重機関銃が二基突き出ていた。
その重機関銃から発射された弾は正確に狙撃手や男たちにヒットし、肉塊へ変える。
ものの数秒で車の周りで動く者はいなくなった。
すご~い!
これは長距離部隊がやっかむわ!
静乃は感嘆の声をあげる。
その時であった。
静乃の衛星電話の着信音が鳴る。
ええ、ええ、そう。
こちらも片付いたわ。
ご苦労様。
引き続き捜索よろしくね。
静乃はそう言うと電話を切る。
事情がわからない新治たちは静乃を見つめ説明を待つ。
あ~!ごめんごめん!
皆の視線に気づいた静乃が説明を始める。
この機関銃は石橋研究所が発明した新兵器で一基で一秒間に38箇所の個別標的を狙撃することが出来るの。
それは良いけど…街がゴーストタウンになっちゃったよ。
新治が周りを見ながらポツリと言う。
ああ、それは良いのよ。
例の廃墟ビルに行く前にセンサーでチェックしたら、この街全体が強化人間だらけだったもの。
温度センサーでは普通の人間はビルの屋上にしかいなかったわ。
この状況で狙撃手以外がビルの屋上にいるとも思えないし、もしいたら「ごめんなさい」って感じね。
でも何故「強化人間」ってわかるの?
そもそも強化人間って何?
フランソワが矢継ぎ早に疑問をぶつける。
私も実物を見るのは初めてだったんだけど、論文を読んだことがあるの。
人間は誰しも出せる力の1/5しか出していないのは知っているでしょう?
力を出さないのは本能的に身体を守る防衛本能が働いているから。
出せる力を全て出してしまえば、身体へのダメージも相当なものだからね。
だから普通の人間を強化人間にするためには、まずはこのリミッターを外す外科処置から始まるのよ。
ただ単にリミッターを外すだけだと身体がついていかないから、
それと一緒に骨に硬化材を注入して筋肉増強剤を打つの。
でもこの処置は重大な欠点があってね。
骨を硬化させることで骨の新陳代謝を阻害して、強化手術を施された人は一年くらいで死んじゃうのよ。
しかも一回手術したら元には戻せない。
あまりにも非人道的だから実現しなかったの。
実はその論文を書いたのが…隼人さんよ。
静乃は最後は口ごもってそう言った。
驚く新治と芽依。
じゃあやっぱり裏で手を引いているのは。
わからない。
わからないわ。
話を戻しましょう。
何故強化人間だとわかるかは昨日切り刻んだ男たちの生体パターンを石橋の情報部に送ったの。
そして今日この車に装備されているセンサーに解析した情報を組み込んで貰ったのよ。
今は情報戦の時代よ。
情報を制していれば万全の準備が出来るわ。
そういえば…
フランソワ、あなたのボス…ボルドール様が今深刻な状態にあるの。
どういうこと?
この街に来るのにそもそも対強化人間対策を万全にしたのは罠だと知っていたからよ。
私やあなたが今朝会ったボルドール様はクローン。
おそらく昨夜入れ替わったのよ。
そんなっ!
残念だけど本当よ。
何故わかるの?
これが私たち…あなたも素質があるのだけど「気」を読む力よ。
顔の形に例えるとわかりやすいけど、人はいろんな気を出していてそれぞれ個性があるのよ。
その日の体調や長い歳月の間に変わることはあるけど一日でガラッと変わることは稀ね。
でも今朝会ったボルドール様は昨日とはガラッと変わっていたわ。
念のために詳細を聞くことにかこつけて情報部を呼ぼうとしたら断られた。
どう考えてもおかしいでしょう?
会社に例えれば実務を社長が説明するようなものよ。
それでナターシャとサーシャを屋敷に置いておいたの。
こちらが罠と確定したらボルドール様のクローンを捕縛するためにね。
ナターシャとサーシャが捕縛しようとしたら執事とともに激しく
抵抗したらしいんだけど、最後はまた例の「自爆」。
ナターシャとサーシャが情報収集室に踏み込んだら全員殺されていたそうよ。
じゃ、じゃあ…
フランソワは最悪の事態を想像し、顔面蒼白になってうろたえる。
本物のボルドール様と執事はまだ発見されていないわ。
私たちも急いで帰って捜索を手伝いましょう。
一行は大急ぎで空港に引き返した。
ああ、それは良いのよ。
例の廃墟ビルに行く前にセンサーでチェックしたら、この街全体が強化人間だらけだったもの。
温度センサーでは普通の人間はビルの屋上にしかいなかったわ。
この状況で狙撃手以外がビルの屋上にいるとも思えないし、もしいたら「ごめんなさい」って感じね。
でも何故「強化人間」ってわかるの?
そもそも強化人間って何?
フランソワが矢継ぎ早に疑問をぶつける。
私も実物を見るのは初めてだったんだけど、論文を読んだことがあるの。
人間は誰しも出せる力の1/5しか出していないのは知っているでしょう?
力を出さないのは本能的に身体を守る防衛本能が働いているから。
出せる力を全て出してしまえば、身体へのダメージも相当なものだからね。
だから普通の人間を強化人間にするためには、まずはこのリミッターを外す外科処置から始まるのよ。
ただ単にリミッターを外すだけだと身体がついていかないから、
それと一緒に骨に硬化材を注入して筋肉増強剤を打つの。
でもこの処置は重大な欠点があってね。
骨を硬化させることで骨の新陳代謝を阻害して、強化手術を施された人は一年くらいで死んじゃうのよ。
しかも一回手術したら元には戻せない。
あまりにも非人道的だから実現しなかったの。
実はその論文を書いたのが…隼人さんよ。
静乃は最後は口ごもってそう言った。
驚く新治と芽依。
じゃあやっぱり裏で手を引いているのは。
わからない。
わからないわ。
話を戻しましょう。
何故強化人間だとわかるかは昨日切り刻んだ男たちの生体パターンを石橋の情報部に送ったの。
そして今日この車に装備されているセンサーに解析した情報を組み込んで貰ったのよ。
今は情報戦の時代よ。
情報を制していれば万全の準備が出来るわ。
そういえば…
フランソワ、あなたのボス…ボルドール様が今深刻な状態にあるの。
どういうこと?
この街に来るのにそもそも対強化人間対策を万全にしたのは罠だと知っていたからよ。
私やあなたが今朝会ったボルドール様はクローン。
おそらく昨夜入れ替わったのよ。
そんなっ!
残念だけど本当よ。
何故わかるの?
これが私たち…あなたも素質があるのだけど「気」を読む力よ。
顔の形に例えるとわかりやすいけど、人はいろんな気を出していてそれぞれ個性があるのよ。
その日の体調や長い歳月の間に変わることはあるけど一日でガラッと変わることは稀ね。
でも今朝会ったボルドール様は昨日とはガラッと変わっていたわ。
念のために詳細を聞くことにかこつけて情報部を呼ぼうとしたら断られた。
どう考えてもおかしいでしょう?
会社に例えれば実務を社長が説明するようなものよ。
それでナターシャとサーシャを屋敷に置いておいたの。
こちらが罠と確定したらボルドール様のクローンを捕縛するためにね。
ナターシャとサーシャが捕縛しようとしたら執事とともに激しく
抵抗したらしいんだけど、最後はまた例の「自爆」。
ナターシャとサーシャが情報収集室に踏み込んだら全員殺されていたそうよ。
じゃ、じゃあ…
フランソワは最悪の事態を想像し、顔面蒼白になってうろたえる。
本物のボルドール様と執事はまだ発見されていないわ。
私たちも急いで帰って捜索を手伝いましょう。
一行は大急ぎで空港に引き返した。