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静乃と新治第六部 ~シチリア島の激闘 後篇

ボルドールに指示されて向かったシチリアの街で罠にはまった静乃たち。

遅い来る強化人間たちの襲撃からはかろうじて逃れたが、
街のあちこちから車に向かって雨のように弾丸が降り注ぐ。

ライフルで歯が立たないとわかったのかロケットランチャーらしき物を構えるヤツもいる。

新治さん!そこの広場で360度回転して!

静乃は助手席で何やら操作しながら新治に言う。

わかった!

車が広場に差し掛かると新治は車をスピンさせる。

バララララ!

荷台から連続発射音が響く。

新治がサイドミラーで確認すると荷台に設置された半球状の台座から、重機関銃が二基突き出ていた。

その重機関銃から発射された弾は正確に狙撃手や男たちにヒットし、肉塊へ変える。

ものの数秒で車の周りで動く者はいなくなった。

すご~い!

これは長距離部隊がやっかむわ!


静乃は感嘆の声をあげる。

その時であった。

静乃の衛星電話の着信音が鳴る。

ええ、ええ、そう。

こちらも片付いたわ。

ご苦労様。

引き続き捜索よろしくね。


静乃はそう言うと電話を切る。

事情がわからない新治たちは静乃を見つめ説明を待つ。

あ~!ごめんごめん!

皆の視線に気づいた静乃が説明を始める。

この機関銃は石橋研究所が発明した新兵器で一基で一秒間に38箇所の個別標的を狙撃することが出来るの。

それは良いけど…街がゴーストタウンになっちゃったよ。

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静乃と新治第六部 ~スワジランドへ



ココで発見しまシタ。

静乃たちが屋敷に戻ると既に捜索は終わっていた。

ボルドールと執事は屋敷の片隅にある井戸の底から遺体で発見された。

ボルドール様…

フランソワはもちろんのこと静乃たちも皆、
変わり果てたボルドールの遺体に手を合わせ、沈痛な面持ちで冥福を祈った。


3日後。


ボルドール家当主の葬儀がしめやかに執り行われた。

同時に殺された執事や情報部員、ボニーたち警護員も合同で弔らわれた。

葬儀には龍之介も参加した。

ご主人様、手配は如何でしょうか?

うむ…少々問題があってな。

特に途上国に多いのだが比較となる過去のDNA入手が難しい。

親兄弟の遺伝子を解析すればわかるが、そこまで強要する権限はないしな。

各国の自主性に任せるしかない。


…そうですか。

ボルドールのクローンすり替えを受けて、各国の元首や要人に対してクローン判別機を
無償提供することにしたのだが、クローン判別機は判別の比較となるDNAがないと動作しない。

これからのすり替えは防げるが、既にすり替わっていたらわからない。

だが収穫もあったぞ。

分解したら故障すると言って渡したにも関わらず、既に分解された機器が2台ある。

つまりその2国は判別の必要がなく更には判別機の性能を知りたかったことになる。

まずはその2国に潜入してみてくれ。


了解しました。

まずはスワジランドからだな。

アフリカで6番目に国土面積が小さい国で治安も比較的安定しているのだが、それだけに気になる。

長距離部隊、諜報部隊も連れて、万全の体制で向かってくれ。


はい。

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静乃と新治第六部 ~臨死体験 前篇

突入した教会で罠にはまり、網に絡まれた状態で重機関銃に囲まれる静乃。

もうダメ…死んだ。

静乃の脳裏に今までの思い出が走馬灯のように浮かんだ。

新治が笑顔で微笑んでいる。

一応身体を丸めて衝撃に備える。

この間2、3秒であろうか?

ドンドンドン!

重機関銃の重い発射音が礼拝堂に響き渡る。

重機関銃から排出された薬莢が滝のように床に落ちた。

それと同時に重機関銃は麻里の狙撃によって次々と破壊される。

きっかり1秒後。

全ての重機関銃は沈黙した。



生きてる?


奇跡的に静乃は生きていた。

しかも無傷である。

なになになになに?

その時であった。

礼拝堂の床が跳ね上がり、地下から女が叫びながら飛び出して来た。

正確には暗いので姿形はわからなかったが声からして若い女である。

静乃と目があったと思った瞬間、女は床に顔を擦り付けていた。

左右の窓から飛び込んだナターシャとサーシャに取り押さえられたのである。

フランソワに習った捕縛術が早速役立った。

痛い痛い痛い!

女はけたたましく喚く。

静乃はゆっくり網から抜け出す。

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静乃と新治第六部 ~臨死体験 後篇

静乃をまんまと貶めた女。

その目的はなんと自分を捨てた元恋人の四谷幸人との再会を果たし、
あわよくば四谷兵器研究所で働くことであった。

あ~!そうそう!

あなたを「臨死体験」させた重機関銃は全部空砲だったの。

引っ掛かるかどうか不安だったけど泣く子も黙る石橋家のメイド部隊も案外間抜けだったわね。


そう言うと女はカラカラと笑った。



そうね、こんな「子供騙し」にしてやられるなんて私もまだまだね。

ではナターシャ、サーシャ。

これからは「きっちり」いきましょう。

何を隠し持っているかわからないから裸に剥いておしまい。


了解。

ちょ!ちょっと待ってよ!

今説明したじゃない!

私は敵じゃないって!


自分で脱がないとナイフで切り裂くことになりマスガどうしマスカ?

女の言葉などまるで耳を貸さず、ナターシャはにっこり笑ってそう言った。

30分後。

全裸の女を連れた静乃たちはトレーラーへと戻っていた。

女は両脇をナターシャとサーシャに固められ、裸のまま1キロの道のりを歩かされたのだ。

トレーラーに戻るとモニタールームに引き立てられる。

モニタールームはミーティングルームも兼ねているので
新治を含め今回の作戦に参加したメンバーが全員揃っていた。

皆、ニヤニヤしながら好奇の目で女を見つめる。

女は顔を赤らめ、両手で懸命に前を隠していた。

あらまだ小娘じゃない。

静乃ちゃんまんまとしてやられたわね。


麻里が茶化す。

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静乃と新治第六部 ~アンドラ公国へ

スワジランドでの判別機開封理由が判明し、安堵したのも束の間。

フランソワが次の目的地、アンドラ公国に単身乗り込み、消息を絶ったとの情報が龍之介よりもたらされる。

すぐにと言われてもこれから空港まで行って輸送機に装備を積んで、またアンドラ公国近くの空港まで行って…

現地に到着するのは明日になってしまいますわ…


はいはいはいは~い!

私教会の裏にオスプレイ停めてありま~す!


ナターシャとサーシャに取り押さえられていたアメリアが必死にアピールする。

そんなものも持っているの?

まあでもありがたいわ。

私たちをアンドラ公国まで運んで頂戴。


こ、これでチャラ?チャラ?

アメリアは静乃に必死に訴える。

…チャラになるかどうかは働き次第ね。

咲ちゃんたちと麻里さんたちは装備とともに正規ルートで来て。

私たちは一足先に現地に行って様子を見て来るわ。


了解。

気を付けてね。


歯が立たなそうだったら皆揃ってから作戦にうつるから大丈夫よ。

新治さんはアメリアの見張り役としてついて来てね。


わかった。

では行きましょう。

静乃たちはトレーラーで教会裏へと移動する。

アメリアの言う通り教会裏の森の中にオスプレイが隠されていた。

接近戦部隊と新治、そしてアメリアはオスプレイに乗り移りアンドラ公国に向けて発進する。

あのぉ…

そろそろ服を着ても良いですか?


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